フリーランスに向いてないと思ったら|キャリアコンサルタントとして自問してみて欲しいこと
自分はフリーランスに向いていないかも。
フリーランスになって数年、そんな悩みを抱える人は少なくありません。
フリーランスになる人の多くは、会社員では得られない経験や、働き方を求めてフリーランスになります。
でも実際なってみると、得られるもの以上に失うものが見えてきたり、不安が生じたり。
そのような結果、「自分にはやっぱり向いていなかったのかもしれない」と感じる人はあなただけではありません。
実際、私も同じようなことで悩んだ人の一人です。
ただ、同じように悩んだ経験から言うと、「フリーランスに向いているかどうか」を考えるのは、良くないかも?と言う思いです。
それよりもより本質的に。自分は何を求めているのか、何が欠けているのか。
それを考えることこそが、今の苦しみを軽くするきっかけになると思います。
と言うわけでこの記事では、私の経験も交えながら、「フリーランスは向いてないかも?」と悩む人に向けて、伝えたいことを書いていこうと思います。
一般的に言われる「フリーランスが向いている人、向いていない人の特徴」はアテにならない
一般的には、フリーランスに向いている人、向いていない人は、以下のような傾向があると言われています。
| 向いていると言われる人 | 向いていないと言われる人 |
|---|---|
| 困難を楽しめる | 不安になりやすい・心配性 |
| 自分で決めて動ける | 指示がないと動きにくい |
| 自己管理が得意 | 自己管理が苦手 |
| 人に会うのが苦にならない・営業ができる | 売り込むのが苦手 |
| 変化を楽しめる | 安定を大事にしたい |
このように特徴を並べられると、そうだよなと、思うこともあると思います。
もし、そう思ってしまったなら、それは誰かの意見やバイアスによる影響を強く受けている可能性があります。
フリーランスに向いていないとされる人でも、上手く行っている人は数知れない
例えば、「不安になりやすい人」は、フリーランスが向いていないとされる人の代表格です。
フリーランスは会社員に比べると、収入も社会保障も安定していません。
取引先が一つ減るだけでも大ダメージですし、スキルが陳腐化してしまったら、翌月から仕事が取れなくなる可能性もあります。
そのような背景から、「心配性な方は、フリーランスになると不安だらけで大変。向いていない」と言われがちです。
では、フリーランスで成功している人は、「不安に強く、前向きな人」ばかりかと言うと、それは違います。
不安になりやすい、心配性の方の中には、先の不安を見据えて、先手先手を打つことで、上手くやっている人もいます。
そして前向きに見える人の中にも、そう見せかけているだけで、本当は不安でいっぱいな人もいます。
会社員になれば解消するわけではない
たしかに会社員になれば、毎月の収支の不安からは解消されます。
一方で会社員になると、「周りについていけるだろうか」、「評価されるだろうか(収入は伸ばせるだろうか)」といった不安が生じます。
会社員は、フリーランスのように弱みを避ける方法を自由に選べません。だからこそ、弱みを克服する必要も出てきます。
そのような点で考えると、本当に大切なのは、「自分の本心に気づき、認めること」ではないかと思います。
個人的には、「自分の本当の気持ちを認められている人」であれば、心配性の人でも上手くやれています。
一方、「不安になるのはダメだ」と思ってしまったり、見て見ぬふりをしたり。
そのように蓋をしてしまうケースでは、心と行動が一致せず、上手くいかなくなってしまうように感じています。
向いていると言われる人も、手放しで成功するとは言えない
心配性な人がフリーランスに向いていないと言われる一方で、「困難を楽しめる人」は、フリーランスに向いていると言われがちです。
たしかに困難を楽しめる人であれば、収入減をはじめ、あらゆる状況を楽しんでなんとかできそう、と思ってしまいます。
でも、困難を楽しめる素質が悪い方向に傾くと、表面的な困難への対処に追われ、本当に大切なことを見失ってしまうこともあります。
それに、あなたもフリーランスになった直後は、心配半分、楽しさ半分だったのではないでしょうか。
あなたが悩んでいるのは、「フリーランスが向いているかどうか」ではない
ここまでで見てきたように「〇〇な人」という傾向論は、フリーランスに向いているかどうか、に直結しません。
実際、今のあなたは、どれだけ「フリーランスに向いている、向いていない」という情報を集めたり、誰かに言われても本心から納得はできないのではないでしょうか。
なぜなら、あなたが本当に悩んでいるのは「フリーランスが向いているか、向いていないか」ではないからです。
冒頭で「向いているかどうかを考えるのは良くないかも」と書いたのは、この問いが答えの出ない場所に置かれているからです。
あなたが本当に悩んでいるのは何か?
よくフリーランスが抱える問題には、以下のようなものがあります。
- 収入が安定しない
- 仲間がいなくて孤独
- 将来が不安
- もしもの時が不安
何に悩んでいるのかがわかれば、そこで初めて対策を考えることができます。
例えば、収入が安定しないことが問題なのであれば、「どのようにすれば、求めている安定が手に入るのか」を考えます。
事業を複数作ったり、投資したり。スキルが陳腐化しても、横展開できるように知名度を高めておいたり。
収入の安定そのものは、このように原因を分解することである程度対処可能です。
残りの3つも、同じ手順で考えられます。「何が足りていないのか」「どうすればそれが手に入るのか」を、一つずつ分けて置いてみてください。
私の場合で言えば、フリーランスの仲間との接点は、部分的なものでした。同じ船で旅をする仲間というよりは、たまたま行き先が一緒な電車に乗り合わせたような感覚です。
孤独という言葉ひとつでも、その中身は人によって違います。だからこそ、自分の言葉に置き換えてから対処を考えることになります。
1つ1つの問題へ対処しても心が晴れないなら
1つ1つの問題への対処を考えて見ても、やっぱり心が晴れない(=フリーランスは向いていないと思う)こともあると思います。
その場合、抱えている問題は、自分が思っているよりも複合的だと考えられます。
- 自覚していないけど、仲間がいない寂しさ
- 周りの人と比べて、自信が持てなくなっている
- そもそも経営や考えることに疲れた
少し手間ではありますが、このように原因を分解しながら、「自分の本質的な悩みは何か?」を考えます。
そうやって考え続ければ「色々あるけど、本当の問題はこれかも知れない」という問題に気づけるようになります。
私が「向いていない」と思ったのは、働き方ではなく職種のほうだった
冒頭に書いたとおり、私も同じことで悩んだ一人です。私の場合は、フリーランスのマーケターという職種が向いていないのでは?という悩みでした。
最新情報を追えない、SNSも好きじゃない。だからマーケターは向いていないと思っていた
私がマーケターに向いていないと思った理由は2つあります。
一つは、周りの人に比べて、マーケティングに関する最新の情報をキャッチアップできていなかったこと。
もう一つは、SNSを見るのがそんなに好きじゃなかったことです。
この2つがあるから、自分はマーケターに向いていないのだろうと思っていました。
でも今思うと、それはスキルアップの習慣を入れられていなかっただけです。
実際、AIなどのテーマによっては積極的に情報を調べますし、SNSも必要に応じて活用しています。
そのときは、たまたま他のことを優先していたり、習慣にしていなかっただけ。
だからこれは、素質の問題じゃなくて、習慣やスキルの問題でした。
それに本当に向いていなければ、6年も続けられることはなかったと思います。
実際、一度プログラミングを勉強したこともありますが、それは学習プログラムを終えることすらできず、3ヶ月未満で辞めてしまいました。
それに比べると、向いていない要素よりも向いている要素が混ざってきたのだとも思います。
「初対面が苦手」を分解したら、対策できるものに変わった
それから私は、営業も苦手でした。
初対面が苦手だし、押し売りも嫌いです。
でも、それだけで向いてないと捉えてしまうと良くない。
どの職種にも、自分に向いている作業、向いてない作業はあるからです。
「初対面が苦手」を分解すると、何を話したらいいか正解がわからないとか、どのように評価されるか不安とか、色んな側面があることに気がつきました。
そしてそこまで分解できたら、一つ一つ対策できます。
結果、押し売りはいや、という価値観との相違は一定残りましたが、苦手意識の大部分はスキルの成長により克服できました。
押し売りについては、ユーザーファーストを大事にしている会社の中には、無理に売らないのをよしとしていることもあります。
だからこそ、職種の向き不向きでは片付けられない。
そして、これは職種でも働き方でも一緒だと思っています。
本質的な問題を自覚できれば、選択肢を正しく検討できる
考え続けた結果、「自分が求めていることと、現在の乖離」が明確になれば、選択肢を正しく検討できます。
- 以前は、自由な働き方が最優先だった。
- でも今は、「収入の安定」と「雑談できるような仲間」が欲しい。
そのように言語化できれば、フリーランスのまま安定と仲間作りの方向で頑張るか、働き方の自由度は損なわれるけど、会社員になってその二つを得るか。
そうやって、二つの選択肢を同じ土俵に並べて比べられるようになります。
どちらが正解かは、その時の状況や、自分が大切にしていること、価値観によります。
どのようにすれば、本質的な悩みと向き合えるのか。
ここまで見てきたように、大切なのは「フリーランスが向いていない」と思う理由を分解することです。
でも、どうすれば効率よく考えられるのか、わからないこともあると思います。
そのような時、私はキャリアコンサルティングの場面で、以下のように問いかけるようにしています。
- なぜ、向いていないと思うのか?
- どんな人が向いていると思うのか?
- 向いていないと思ったのは、何がきっかけ?
- フリーランスになる時に求めていたのは何だった?
- 今のあなたが求めているのは何か?
あなたが向いていないと思ったのは?
この5つは、頭の中だけで考えるよりも、紙やメモアプリに書き出したほうが進みます。
書き出すと、自分がどこで詰まっているのかが見えるからです。
順番は、上から順で構いません。ただし、4つ目と5つ目はセットで考えてみてください。
まず「過去」と「今」を切り分けて、自分の本心と向き合う。それが、この5つの問いの骨格です。
答えが出ない問いがあっても、そこで止めなくて大丈夫です。「今は答えられない」と書いておくこと自体が、あとで効いてきます。
なぜ、向いていないと思うのか?
この問いで見ようとしているのは、「向いていない」という結論そのものではなく、その結論に至った材料のほうです。
「向いていない気がする」という感覚だけが先に立っていて、理由を言葉にしないまま結論を持ち歩いている、ということはよくあります。
書き出すときは、「〇〇だから向いていない」という形で、思いつく限り並べてみてください。一つに絞らなくて構いません。
並べ終わったら、それぞれが「起きた事実」なのか「そう感じていること」なのかを分けてみます。この2つは混ざりやすく、分けるだけで見え方が変わることがあります。
さきほどの営業の例のように、「向いていない」と感じる理由は、分解すると複数の側面に分かれることがあります。
私の場合は「初対面が苦手」を分解して、何を話したらいいか正解がわからない、どのように評価されるか不安、といった側面に分かれました。
そこまで分解できれば、一つ一つ対策を考えられます。「向いていない」というひとかたまりのままだと、手のつけようがありません。
どんな人が向いていると思うのか?
この問いは、あなたが基準として置いている「向いている人」の像を確かめるためのものです。
自分を「向いていない」と判断するには、比較対象がいります。その比較対象が誰なのかを、はっきりさせるということです。
書き出すときは、抽象的な特徴ではなく、できるだけ具体的な人を思い浮かべてみてください。SNSで見かける人でも、知り合いでも構いません。
そして、その人の「どこを」向いていると思ったのかまで書いてみます。そこに書かれたものは、たいていの場合、あなた自身が今欲しいと思っているものと重なります。
向いていないと思ったのは、何がきっかけ?
この問いで見ているのは、時期と出来事です。
漠然とした感覚に見えても、「そう思い始めた時期」はたいていどこかにあります。半年前なのか、1年前なのか、独立した直後からなのか。
きっかけが特定できると、悩みの正体が分かれてきます。フリーランスという働き方そのものの話なのか、それとも特定の出来事や時期の話なのか、という切り分けです。
もし「取引先が減ってから」「同世代の話を聞いてから」のように、きっかけが出来事のほうにあるなら、向き不向きの話ではない可能性が高くなります。
フリーランスになる時に求めていたのは何だった?
ここからが、この5つの中でも中心になる問いです。
私が相談を受けるときも、よくこう聞きます。フリーランスになると決めたときは、何を求めていたと思いますか、と。
書き出すときは、当時の自分の言葉で書いてみてください。今から見た評価(あれは甘かった、など)は、いったん混ぜないほうがいいです。
当時の自分が何を一番大事にしていたのか。その優先順位が思い出せると、次の問いの答えが出しやすくなります。
今のあなたが求めているのは何か?
そして、今は何を求めていますか、という問いです。
この2つは、たいてい違います。違っていていいんです。違っていることに気づけたら、それがそのまま材料になります。
状況も自分も変化するものですから、当時と今で求めるものが変わっているのは、おかしなことではありません。
この2つの差が言語化できたときに、はじめて「フリーランスのまま埋めにいくのか、別の働き方で埋めるのか」という比較ができるようになります。
フリーランスから会社員に戻ることも、30歳くらいならまだできる
フリーランスから会社員に戻ることはできます。
一つの目安として、未経験の職種に転職するなら30歳までだと思っています。フリーランスで経験したのと同じ職種への転職であれば、大企業以外は割と柔軟に採用してくれる傾向があります。
いわゆる「30歳の壁」自体は、本来はバイアスです。企業側の「若い方が長く働いてくれるし、吸収力もあるだろう」という考えは、完全に偏見だと思っています。
それでも、年齢によってはじかれてしまうことは、残念ながらあります。
ただし、戻ったあとの続け方が、その後の選択肢の広さに響きます。ここは次の章で書きます。
結論は急がず、問い続けよう。
ここからは、転職エージェントとして、法人のお客様と対応する中で感じたことです。
フリーランスから会社員に戻ること自体はできますが、会社員に戻った1社目でどれだけ続けられるかが、2回目以降の転職に大きく響きます。
すぐに辞めてしまったら、それ以降の転職のハードルが劇的に高くなります。
そもそもあなたも、転職を何度もしたいわけではないと思います。
だからこそ、「とりあえず」で決めず、じっくりと向き合うことが大切だと思っています。
自分の理想100%を叶える会社はありません。これはフリーランスでも、社長でも同じです。
そのなかで「ここでダメだったら他はないだろう。現状ではベストに一番近いだろう」と思えるくらいまで、選択肢を検討するのがおすすめです。
そして、これは「会社員に戻る」という結論に限った話ではありません。
フリーランスを続けると決める場合も同じで、何を埋めるために続けるのかが定まっていないと、同じ悩みがまた戻ってきます。
私自身がどう決めたのかは、半年悩んで会社員に戻ったときの記事にまとめています。
まとめ
ここまで、「フリーランスに向いていないかも」と悩む人に向けて書いてきました。
私が言いたいのは、「向いていないなら辞めたほうがいい」ということでも、「続けたほうがいい」ということでもありません。
冒頭で、「フリーランスに向いているかどうか」を考えるのは良くないかも、と書きました。
理由は、その問いには答えが出ないからです。傾向論をいくら集めても、誰かに言われても、本心からは納得できません。
答えが出ない問いを抱えている間は、苦しさだけが続きます。
それよりも、「自分は何を求めているのか、何が欠けているのか」を分解していく。
フリーランスも会社員も、目的のための手段でしかありません。
だから、フリーランスを続けてもいいし、会社員になってもいい。どちらが合うかは、その時の状況や、自分が大切にしていること、価値観によります。
まずは、過去と今を切り分けながら、今の自分の本心に向き合ってみてください。
その先で続けると決めても、戻ると決めても、それはあなたが自分で出した結論です。
一人で決めきれないと感じたら
キャリアの迷いは、話してみることで整理できることがあります。国家資格キャリアコンサルタントに相談してみませんか。
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